事故車・修復歴車の見分け方

中古車の個人売買は、事故車や修復歴車を騙される危険性が潜んでいます

なかには「安くてお得だし…」と個人売買での購入を考えている方もいますよね。

  • 事故車と修復歴車は違うの?
  • 個人売買は騙されるリスクが高いって聞いたけれど…
  • 事故車・修復歴車のデメリットは?
  • 事故車や修復歴車の見分け方のポイントが知りたい
  • 購入後に修復歴などが発覚した場合は訴えることは可能?

このページを見てくださっているということは、このような疑問をお持ちだと思います。中古車とはいえ車は高い買い物です。失敗は避けたいですよね。

最初に答えを簡単にまとめると…

  • 事故車⇒事故をした車
  • 修復歴車⇒車の骨格・フレーム部分の損傷や修理の跡がある車
  • 個人売買のリスク⇒結構高いです…
  • デメリット⇒故障の頻発、まっすぐ走らないなど安全性に問題が多い
  • 見分け方のポイント⇒①板金塗装②左右対称③ライト類④ボルト類⑤ナンバープレート⑥異臭や汚れ⑦トランクの床下⑧シーラー⑨試乗確認
  • 購入後の発覚⇒訴えることはできるが穏便にはいかない

です。

管理人

これらについて「もっと詳しく知りたい」という方は、以下の文章も参考にしてくださいね。

記事は下に続きます。





車の個人売買で騙される4つの頻発パターン

中古車の売却や購入は、ディーラーや買取業者を介さずに個人で売買を行っている人も意外といます。

個人売買は、仲介業者に払う中間マージンが発生しないので「売る側は高く、買う側は安く」とお得だから、というのが理由です。

売り手が良い人であればお得に購入できるためメリットも大きいですが、実際には騙される危険性も多く失敗する人も多いです。

【騙される頻発パターン】

  1. 事故車の可能性
  2. 修復歴車の可能性
  3. 盗難車の危険性
  4. 車を渡してもらえない可能性
管理人

個人売買で騙されるパターンについて、ひとつひとつ詳しく説明していきますね。

事故車・修復歴車の可能性

個人売買で意外と多いトラブルが、「修復歴なし」「事故歴なし」として買ったのに嘘だった…と購入後に事故車・修復歴車と判明する可能性があることです。

中古車は「修復歴の有無」が車の価格を決める上で重要になっています。誰でも、修復歴のある車の購入はできるだけ避けたいと思いますよね。

中古車の場合は、修復歴があると価格が大幅に下がってしまいます。買取や下取りに出す場合は、査定員を騙すことはできません。修復歴は確実にバレます。

ですが、個人売買の場合、購入者が素人であることが多く、あえて修復歴を隠して売ることもあるのが現状です

事故車の定義

事故車とは、字の通り事故を起こしたことのある車のことです。事故の大きさに関わらず、小さな接触事故でも「事故車」になります。

ですが、これは世間一般での呼び名のこと。

自動車業界には「事故車」は存在せず、全て次の「修復歴車」と呼ばれています。

管理人 注意

ちなみに、事故歴の有無は情報開示することは義務付けられていないため、申告は任意です。

修復歴車の定義

修復歴車とは、車の骨格部分を損傷し、交換、修復、溶接などを行った車のことです

修復歴車の定義は

  • 日本自動車査定協会
  • 日本中古自動車販売協会連合会
  • 自動車販売協会連合会
  • 自動車公正取引協議会

によって定められています。

車は大きく「外観部分」と「構造部分」の2つに分かれています

外観部分 修理や交換をしても車の性能や安全性に支障はない
構造部分 損傷するとの車の性能や安全性に支障を来すことが多い

この「構造部分」というのが車の骨格部分。損傷すると修復歴車になり、全部で9ヶ所が該当します。

【修復歴になる骨格部分9ヶ所】

  1. フロントクロスメンバー
  2. ラジエターコアサポート
  3. フロントインサイドパネル
  4. フレーム
  5. ダッシュパネル
  6. ルーフパネル
  7. トランクフロアパネル
  8. ピラー
  9. ルームフロアパネル

骨格部分の修復が必要な車は、中古車業界は事故車扱いとなり「修復歴あり」と表示します

しかし、接触事故や人身事故を起こしていても「骨格部分9ヶ所」に損傷がなければ修復歴車には当たりません。

簡単にまとめると…

  • 一般の人が考える「事故車」とは⇒少しでも事故を起こしたことのある車
  • 中古車業界が考える「事故車」とは⇒事故の有無ではなく「修復歴あり」に該当する車
管理人

「修復歴なし」の車でも、事故を起こしていない車というわけではありません。

事故車・修復歴車のデメリット

車の骨格部分に損傷があった事故車や修復歴車のデメリットは何よりも「安全性に不安があること」です

車の骨格は安全に走行するために欠かせない部分です。その部分が損傷しているということは

  • 車の性能
  • 車の剛性
  • ブレーキ
  • 直進性能

などの安全性に問題があることがあります。購入後に修理代が高くつくことも考えられます。

車は命を預ける乗り物です。修復歴車は安くてお得という方もいますが、安全面、購入後のリスクなどの面から見てもメリットよりもデメリットの方が大きいです。

管理人 注意

「事故車」「修復歴車」は縁起が悪い…という理由から避ける方も多いです。

盗難車の危険性

ヤフオクやメルカリなどのように、ネットオークションでの個人売買で増えているのが「盗難車」の出品です。

ネットオークションなどの個人売買では、盗難された車であることに気づかずに購入してしまうことがあります

まさか、盗難車が売られているとは誰も考えないですよね。でも実際に、購入後に盗難車であることが分かり警察から連絡が…というケースもあるので個人売買では注意が必要です。

車を引き渡してもらえない

個人売買では、購入代金を支払ったのに車を引き渡してもらえないケースもあります

個人売買は、専門家を介さずお互いの信用関係で成り立ちます。友人や知人と個人売買するならまだしもネットオークションなど初対面の人をどこまで信用できるか正直わからないですよね。

また、個人売買では契約書がない場合も多いです。相手に連絡もつかず、泣き寝入りするしかなかったり、弁護士に相談するなど大事になってしまう場合もあるようです。

個人売買はできれば避けたほうが良い

個人売買では、トラブルが発覚した際の責任は全て自分たちで対応することになります。

査定基準がしっかりと決まっている中古車販売店やディーラーなどと違い、個人売買に査定基準はありません。お互いが納得すれば売買契約は成立します。

悪い人ばかりではありませんが、なかには高く売るために悪質な手段を使う人もいます。相手がどこまで正直に話してくれているかはわからないですよね。

個人売買は、中古車が安く購入できるというメリット以上にデメリットや騙されるリスクの方が大きいのできれば避けたほうが良い、というのが正直なところです

管理人うんざり

個人売買はリスクが大きいのでおすすめできません…

事故車・修復歴車の見分け方9つのポイント

ここでは、騙されないために事故車や修復歴車を見分けるポイントをご紹介していきます。

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【見分ける9つのポイント】

  1. 板金塗装の有無を確認
  2. 左右対称かどうかのチェック
  3. ライト類の確認
  4. ボルトやナット類の色味の確認
  5. ナンバープレートの歪みチェック
  6. 異臭や汚れの有無
  7. トランクの床下の汚れ具合を確認
  8. ドアのシーラーの形のチェック
  9. 試乗して走り方などを最終チェク

ポイント1:板金塗装の有無

車全体の色をいろいろな角度から確認したときに、色味が違う部分があれば板金塗装を行っている可能性があります

板金塗装を行っているということは事故を起こした疑いがあるということ。

売り主に確認してみてください。

管理人

あれ?と気になる部分があったら、必ず売り主に確認!です。

ポイント2:左右対称かどうか

車は基本的に左右対称に作られています

  • 左右のフレームの形状
  • ボンネット、ドア、トランクなどを閉めた時の隙間のズレ
  • ボンネットなどパネルが浮いている

などもチェックします。

隙間も基本的には左右対称です。どちらかの隙間が広いなどの場合は修理をしている可能性が考えられます。

管理人

「車は基本左右対称!」と覚えておきましょう。

ポイント3:ライト類

見分け方のポイントの一つに「ライト類の確認」があります

事故などを起こしライトを交換するとつなぎ目部分に隙間ができたり部分的に奥にのめり込んでいることもあります。

また、左右のライトのどちらかが新しい場合も修復した疑いがあります。

ポイント4:ボルト類の色

本来、ボルトは車と同じ色をしています。車の修理やパーツ交換をする際は、接続部分のボルトを外すため、ボルトの塗装が剥げていたり、鉄の色がむき出しになっている場合は事故車・修復歴車の可能性が考えられます

  • ドアの接続部
  • ボンネットの接続部
  • トランクの接続部
  • ヘッドライト部分

ボンネットやトランクを開けてこれらの部分のボルトを確認してみてください。

ポイント5:ナンバープレートの歪み

ナンバープレートのヘコミ具合や汚れ具合、また前後の違いも見分け方のポイントのひとつです

へこんでいる場合は衝突や追突した可能性、前後のプレートの違いはどちらかを何らかの理由で取り替えたということです。

管理人

ナンバープレートは普通に走行しているだけではゆがみません。

ポイント6:異臭や汚れ

異臭や汚れにも要注意です

  • 車内の独特の臭い(カビ臭いなど)
  • エアコンからの生臭い異臭
  • シートベルトや隙間の変色
  • 錆びや錆を落とした後

などがあるようなら水没車・冠水車の可能性も考えられます。

管理人 注意

水没車・冠水車は電気系統などにトラブルを起こしやすく、特に電気系統が故障するリスクが高いです。

ポイント7:トランクの床下

トランクに敷かれているカーペットを外して、床下を確認することも見分けるポイントのひとつです

  • 床下にシワが寄っている⇒後ろから追突された可能性
  • 床下が錆びている⇒水没車・冠水車の可能性
  • 雨水が入っている⇒修復が不十分

上記のような状態の場合は、事故車・修復歴車の疑いがあるので要注意です。

ポイント8:シーラーの形

ドアやトランク、ボンネットなどのフレームの縁には防水加工としてシーラーが塗布されています。自動車メーカーが製造過程で塗布されたシーラーは違和感なく綺麗です

例えば…

  • ドアのシーラーの状態が左右違う
  • シーラーの塗装面が剥がれて内側が見える
  • シーラーがプチプチ音がする
  • シーラーの形が途中で曲がったり崩れている

などの場合は、強い衝撃を受けてパーツを交換するなどの事故に遭った可能性が考えられます。

管理人

シーラーは防水や防錆のため車のいたるところに施されていますが、違和感を感じる部分は要チェックです。

ポイント9:試乗確認

事故車や修復歴車は、骨格部分を損傷しているため走行中に不調を感じることもあります

  • まっすぐ走らない
  • ロードノイズがひどい
  • 左右のどちらかに寄りやすい
  • 乗り心地に違和感がある など

実際に試乗して走行に違和感を感じる場合は事故車・修復歴車の可能性も考えられるため注意が必要です。また、実際にこのような状態の車の場合は事故車・修復歴車ではなくても購入は避けたほうが無難です。

また、なかには…

  • 車検が切れている
  • 保険に加入していない

などの理由で試乗を断られるケースもありますが、こういった場合も購入はやめておいたほうが良いです。

ここまで事故車・修復歴車を見分ける方法をご紹介してきましたが、素人が見極めるのは難しいと言うのが実際のところです。購入してすぐは問題なくても数ヶ月後にトラブル発覚、というケースも多くなっています。

管理人うんざり

知識で理解しても、実際に「事故車・修復歴車」を見分けるのは困難です…。

間違って購入してしまった場合

個人売買で、事故車や修復歴のある車を知らずに間違って購入してしまった場合はどうすればいいのでしょうか?

ヤフーオークションなどを利用した個人売買は「ノークレーム・ノーリターン」と記載されている場合が多いですよね。

この場合の「ノークレーム・ノーリターン」は、売主が現状の車の不具合や故障を全て伝えた場合に有効です。納車後すぐに不具合があった場合はクレーム対象です。

ただ、納車日は問題なく走行できたのに、翌日以降にトラブルが発生した場合など全く賠償されないケースがほとんどなので個人売買は要注意です

管理人 注意

安いには安いなりの理由があります。「ノークレーム・ノーリターン」を理由に対応しない人も多いので個人オークションで中古車の購入は危険です。

相手を訴えることは可能?

対応してくれないといっても泣き寝入りするのも悔しい…。訴えることはできるの?と気になっている方もいますよね。

「修復歴なし」とあったので購入したら、実際は「修復歴あり」だった…という場合は、相手を訴えることも可能です

管理人 注意

車体の骨格に当たらない部分の交換や修復は「修復歴」に当たらないため、難しいです…。

修復歴を売りに出す時は、開示することが義務付けられています

そのため、修復歴があるのにないといって売りに出した場合、売り主側が責任を負うことになる「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」が民法に定められています

例えば…

  • 修理可能せあれば、かかった修理費用を売主が負担する
  • 修理の対応を売主が拒否、改善されない場合は契約解除を要求できる
  • 対応に応じてもらえない場合は損害賠償請求できる

などが、買主の権利です。ちなみに売主が「修復歴があるのを知らなかった」という場合も関係はありません。

ただ、全ての方が素直に応じてくれるとは限りません。

特に個人間での取引は、査定時に修復歴の有無を確認する中古車販売店とは違い、出品者が修復歴車であることを知っていたかどうかを証明するのは買主です。「知らなかった」とシラを切り通されてしまうと証明するのは難しいです

そうすると弁護士に相談したり、裁判を起こすことになりますよね。裁判になれば弁護士費用・裁判費用もかかりますし何よりもたくさんの時間を要します。長期戦になれば精神的にも参ってきますし車にも乗れませんし、さらには勝てる保証もありません。

購入後に後悔しないための一番の方法は、不安の大きい個人売買には手を出さないことかもしれません

管理人 注意

相手を訴えることはできますが、リスクの方が大きいです…

まとめ

最後にここまでの内容をまとめておきますね。

  • 中古車業界の「事故車」は事故の有無は関係なく「修復歴車」のこと
  • 個人売買は騙されるリスクが高い
  • 事故車・修復歴車を見分けるポイントは9つ
  • 素人が事故車・修復歴車を見抜くのは難しい…
  • 間違って修復歴車を購入した場合⇒訴えることはできるが負担の方が大きい

個人売買は通常の相場よりも安い価格で出品されています。車が安く購入できるのはとても魅力的ですよね。

ですが、相場よりも安く売られている車にはそれなりの理由があります。中古車とはいえ車は安い買い物ではありません。個人売買は一見安く買えるように思えますがトラブルや故障など後々のことを考えると高くつくことも多いので注意が必要です